Thoughts at 3AM.

記憶の補完

6/19

 
木曜に上野に行ってきたのでそのときのことを書きます。
 
ちなみに僕は木曜日に授業を入れてないので土日と同じく休日になっている。大学生っぽく言うと全休ってやつだ。たいてい木曜は何処かに遊びに行くかジムに行くのだが今回は課題を提出しに大学に向かった。
 
 
池袋に向かう途中でキクチから「上野行く」「三時半池袋集合だ」「高柳先輩おる」出刃包丁でぶつ切りにされたような文章が送られてきた。
ここに出た高柳は高校二年の時のクラスメートだ。高柳は目立った悪行こそないものの唐突にモヒカン頭にしてきたりトイレのガラスを抜いたりとなにかと注目を集める存在だった。僕らが二年生の時に一度火災報知機が鳴ったことがあったが真っ先に容疑者に上がったのが高柳だった。特に国語の向後先生は高柳を犯人だと信じて疑わず事件後しばらくたっても執拗な追求を繰り返していた。そんな彼も今は土間土間でバイトリーダーを務め、時折「何のために大学に通っているのかわかんねえ」と口にする笑顔のすてきな青年だ。
 
高柳と僕は結構久しぶりだったので二つ返事でOKを出した。
充電は残り50%、思えばこの時点で悲劇は始まっていた。
 
 
学校で課題を提出した後、僕はメールの通り上野に向かった。
集合場所を決めようとしていると20%充電が残っていたiphoneの充電が切れた。あいにく充電器は持ち合わせていなかったためどこかの改札にいれば会えないことはないだろうと田舎者の感覚でそのまま上野で山手線を降りた。
 
上野駅は本当に複雑だ
 
新宿駅の次に苦手な駅で友人と偶然出くわすのは困難を極めた。中央改札、不忍口、公園口、と都会のラビリンスが田舎者をどんどん飲み込んでいった。僕は一時間ほど構内をウロウロしていたが埒が明かないことを悟って外に出た。
 
人はこうも簡単に一人ぼっちになれるのか。そんなことを思いながらビルの側面に張り付いた電光掲示板に表示される時刻を眺めた。となりで捨てられた缶チューハイを片手にタバコの吸い殻に火をつけてシケモクをやるホームレスや一昔前のスーツに身を包みバブルの雰囲気を漂わせ歩く夫婦を観察しながら東京砂漠を堪能した。
ホームレスが立ち去ると僕もそれにつられるようにして歩き出した。アメ横をまわるもだみ声の魚屋と服屋の怪しい黒人ばかりでキクチたちは見当たらない。夕暮れの不忍池では群生する蓮を見て胸が苦しくなるような感覚を覚えた。
限界はとうに訪れていたのかも入れない。日本の池を泳ぐミシシッピアカミミガメにお前もさびしくはないかと問いかけそうな勢いであった。
 
死力を振り絞り仲町付近を歩くとAUショップを見つけた。わらにもすがる思いで入店し充電を申し出るとお姉さんは快く引き受けてくれた。今度上野で会ったら飴でもくれてやろうと思った。回復した携帯で電話を掛けると奴らはもう上野にいないことが判明した。志木で焼き鳥を食べているらしい。震える指で電話を切ると、空元気でへらへらしながら志木に向かった。この日で一番つらい瞬間だった。
 
 
やっと会えた。
高柳は待ちくたびれて少しぶりっ子になっていた。

f:id:norainutarou:20140623001001j:plain

 

 

 

キクチは田舎のヤンキー度に磨きをかけていた。
金髪が上手く根暗感を払拭し、チンピラっぽさを添えている。流石だ。

f:id:norainutarou:20140623001225j:plain

彼らは僕のために焼き鳥のパーツを二つ皿に残してくれていた、繰り返すが焼き鳥二本ではなくパーツを二個だ。久しぶりに会ってこのゆるさだからやめられない。
ホタルイカの沖漬けに始まった夕食はすごく短かったように思えた。
最高だった。次は折戸も来れるといいな。
 
 
P.S 高柳が最後は腹パンでどうにかするって言ってたのがとても面白かったです。