Thoughts at 3AM.

記憶の補完

夕焼けの群像



電車に私立小学校の制服を着たこどもとその母親とおぼしき中年女性が乗っていて太り気味の少年がスチール缶の飲み口を歯でかちかち鳴らしていたんですよ。

横でかちかち缶を鳴らしているのに母親は気にも留めない様子で少年に喋りかけていて車内が若干嫌な雰囲気に包まれていると、しばらくしてその母親が何かに気づいたそぶりを見せたので僕を含む乗客の何名かは胸を撫で下ろしたのですが、その母親は何を思ったか

「お父さん出っ歯だから○○君も絶対出っ歯なるよ」

と少年に向けて会話のキャッチボールガン無視の剛速球投げたんですよ。
そりゃあもう効果てきめんで、会話を聞いていた乗客の心にヘビーなもやもやを残してかちかち音は止みました。

無言でうつむく少年の目は心なしか潤んで、前歯を少し気にしながら窓の外を見つめる少年にどうしたの?と聞く母親の姿はなんだか哀愁を誘うものがあり、これがすれ違いかとしみじみしてしまいました。


大きくなれ、少年。