Thoughts at 3AM.

記憶の補完

ポケットの砂粒

 

五日から六日にかけて茨城県の阿字ヶ浦に行ってきました。

 軽自動車に乗り込んだ一等空士と暇な学生と美容学校特待生が海岸を目指す。

 

 

季節感の欠けたパフュームのチョコレイトディスコが車内で流れる車内。

変わらない小4レベルの下ネタと噛みすぎて味のなくなった中学校の頃の色話で星は徐々に数を増し、青色の看板に書かれた目的地までの距離は減っていった。

 

昔好きだった子たちは琥珀色の忘却で輝きを増しすぎて本来の姿を遠く離れていくことにだれも気づかず、夜は明けていく。

 

四時になるころに海岸に着く。思っていたより星がずっと綺麗ではしゃいだ。

濃く混ざり合った海と空の隙間に少しずつ色が生まれていく。

潮風で張り付いた前髪をかき上げて、遠い漁船に目を凝らす。

 

 

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刻一刻と変わっていく海岸線はGoproで一分ごとに静止画で撮影した。

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生まれてはじめて水平線から昇る太陽を拝んだ、

初日の出に海岸に殺到する人の気持ちが分かった。

 

 

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太陽が水平線を乗り越えたあたりで再び車を走らせて釣りにむかう。

 

竿を担ぎ心を躍らせ砂浜を歩く一行に近くで貝を採っていた老夫婦が

 

「このあたりはあまり釣れないよ」と、この上なく盛り下がるアドバイス。

出会い頭に冷や水をぶっかけられた気分だったが海なし県から来た田舎者たちの若い炎はまだ消えちゃいなかった。

 

聞き流して竿を出せる場所を探した。

 

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なんとか竿を出して釣り始めた。アタリはあるが針にかからない。

先人たちの偉大なるアドバイスに逆らうようにもくもくと餌をつけて仕掛けを海に投入する。

水平線と決別し昇りはじめた太陽は竿先を見つめる横顔を容赦なく焼いた。

 

すこし手元が震え、何の気なしに竿を上げるとくさふぐが釣れていた。

楽しい食事を邪魔されたら誰しもこんな顔になるはずだ。

 

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一時間ほど釣り続け、釣果は三匹。
 
地元民の言うことに逆らわずに従っておくべきだったと口には出さずともそこにいた全員がひしひしと感じていた。
足場にしていた浮島が海が満ちてきて靴がぬれ始めたので退散した。
 
 
タクミに調子に乗って水をかけて怒られる。へこむ。
 
 
セブンイレブンでなかよく朝食。
海辺の近くのコンビニはつりえさとクーラーボックスが売っていてとっても便利だ。
 
 
早朝から海水浴場に行くとジジババが海藻のようにゆらゆらと手まねきして客を誘導する現代版三途の川をそこかしこで見ることができる。
一行もひとりのゾンビ爺に500円を手渡し車を停めた、日が高くなってきた。
 
 
人目も気にせずにすっぽんぽんになって着替える。
投げ捨てた羞恥心と引き換えに手に入れた恐ろしい速さで着替えていく戦士たち。
かわいらしいおしりで近隣住民に朝の平和をアピール。
 

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決して白いとは言えない砂浜だが興奮と寝不足で血走った6つの瞳にはあまり関係がなかったようだ。
 
 
日焼け止めをしないと屈強な若者も二分でこうなってしまう
 
 

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ダイビングのライセンスを持っている彼は三人で砂のお城を作ろうとしていたときも写真をとるときもずっと沖に出ており恐ろしい協調性のなさを発揮していた。

沖合に見え隠れする坊主頭とシュノーケルに何度呼びかけたかわからない。

 

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シェイクザイードのグランドモスクを作りました。

 

砂遊びに夢中になっていると近くで悲鳴が

急いで駆け付けると

 

 

 

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さっきまで元気にはしゃぎまわっていた二人が変わり果てた姿で横たわっていた。

聞くとまぐろに内臓を食い荒らされて死んだらしい。写真は配慮して布をかけている。

 

 

誰も相手をしてくれずひとりぼっちなのでやけになって飛び込む

 

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本当は30枚/秒なのでもっと細かく撮れている。

お見せできないのが非常に残念だ。

 

ミイラと化した二人に連れられシャワー

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さすが自衛官、体が違う。

 

 

砂にまみれたので近場の温泉へ。

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すでに何度目かわからない裸の付き合い。

からだのあちこちから砂が出てくるのでよく洗った。

大浴場でわにの真似をしないところから見ると成長したのかもしれない。

 

ここで僕の所持金が1000円を割るというハプニングが起こるが隣の自衛官は160円しか入っていない財布を片手に自動販売機に向かっていったので僕も安心してコーヒーを買った。

 

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ふと目を離したすきに仮眠室でまたもコロシがあったらしい

 

 

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夏の海はきけんがいっぱい

身近な友の死をもって初めて理解する言葉の重み。

 

二人が生き返るまでうとうとしながら荷物の番。

駐車場ホイホイのババアの顔が脳裏をよぎるたび体が硬直し現実に引き戻された。

 

 

二時間の時を経て彼らは復活した(叩き起こした)

14:30 昼食を取りに那珂湊漁港へ

 

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さかなが綺麗だ。

 

 

近くの回転ずし屋に入る。

三人の中でひとりだけ魚介類が苦手なやつがいるが、今回は寝不足と空腹のダブルパンチで見事に判断力を欠いていた。

 

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こいつはごきげんうまい

文字通り人の金で寿司を食った二人をふくめ全員が幸せを実感していた。

 

 

大満足のまま海に別れを告げつつ来年もまた来ることを誓った。

高速を抜けたところで見た夕日が印象的だった。

 

 

夏がずっと続けばいいのに

 

おしまい