Thoughts at 3AM.

記憶の補完

月齢3.4

 
とても薄い月を見た。
 
TSUTAYAに向かうとき気づいて、肌が乾燥するのも気にせずにヘルメットのシールドをあげた。
 
太陽の当たる部分こそ限りなく薄くかったが、陰になっている部分が夕闇の中で、ぼうっと浮き上がって見えるいい月だった。
 
おまけに星も綺麗だったので、陸橋の上で少し立ち止まって眺めてしまった。
 
それからずっとドキドキしてしまって、TSUTAYAで立ち読みした雑誌の内容なんかぜんぜん頭に入ってこなかった。
 
アイスとコーヒーを平らげてもなお、あの月のことが気にかかっていた。
 
周りに街灯のない開けた場所で見たかったので、小学校にバイクを停めて校庭まで歩いた。
 
 
砂利を踏みしめる音さえも響く無人の学校。
二階の窓から覗く非常灯の緑色が眩しい。
 
 
校庭の真ん中で夜空を見上げると、月はもうどこかに行ってしまったようだった。
 
ぐるぐると回転して探していたとき、そびえる砂時計の横、東の空を一筋の光芒が
 
 
 
ツーっと尾を引いて、消えた。
 
 
その途端、妙に寂しくなって。
フェンスを乗り越えて、飛ばして帰った。